評価・改善 / ロジックモデル 作り方

ロジックモデルの作り方。事業の「なぜ効くのか」を一枚で整理する

ロジックモデルは、きれいな矢印図をつくるためのものではありません。事業がどんな道筋で変化を生むと考えているかを、関係者と検討するための道具です。

要点

  • 投入・活動・成果・変化を混ぜずに置く
  • 矢印は正しさの証明ではなく、確かめたい仮説を表す
  • 作成後に、指標と振り返りに使って初めて意味を持つ

ロジックモデルとは何か

ロジックモデルは、事業に投入する資源、行う活動、直接得られる成果、その先に期待する変化をつないで表す図です。複雑な事業でも、何を通じて変化を目指すのかを共有しやすくなります。

大切なのは、図が正しいと宣言することではありません。どのつながりに根拠があるか、どこがまだ仮説かを話せることが、ロジックモデルの価値です。

最初は右側の変化から考える

作り始めると、予算やスタッフなど左側の投入から書きたくなります。しかし最初は、事業によってどんな状態の変化を目指すのかを右側に置く方が考えやすいことがあります。

「参加者が増える」のような活動量ではなく、「必要なときに相談先を選べる」「組織が自分で改善できる」といった変化で書くと、活動が目的化しにくくなります。

活動とアウトプットを分ける

研修を実施する、相談を受ける、情報を発信するのが活動です。一方、参加者数、相談件数、作成された資料などがアウトプットです。ここを分けると、やったことと、起きたことを混同しなくなります。

アウトプットが多いことは、望む変化が起きたことを意味しません。その間にどんな学びや行動の変化を期待するのかを書き出します。

矢印ごとに「確かめ方」を置く

ロジックモデルを描いたら、矢印ごとに「本当にそうつながるか」を確かめる方法を考えます。アンケート、聞き取り、観察、運営記録など、必要な情報は矢印によって異なります。

すべてを測る必要はありません。事業の成否に影響しそうな仮説から、確認できる形にしていくと、評価が負担になりにくくなります。

ロジックモデルは、一人で完成させない

担当者が一人でロジックモデルを作ると、頭の中では当然になっている前提が図に現れません。実施者、対象者に近い人、意思決定者など、異なる立場の人と一緒に見直すと、抜けている条件や別の道筋が出てきます。

会議では、矢印が正しいかを争うより、「この活動の次に何が起きると考えているか」「それが起きないのはどんなときか」を聞きます。図そのものより、作る過程の対話に価値があります。

前提条件と外部要因を、図の外に書く

活動と成果の間には、事業だけでは動かせない条件があります。利用者が参加できる時間、制度の変化、協力機関の体制、地域の状況などです。これらを無視すると、期待どおりに変化が起きなかったときに原因を誤ります。

図の端に「この条件があるときに成り立つ」と書くだけでも、必要なリスク管理や連携が見えます。ロジックモデルは万能の説明図ではなく、事業の限界を扱うための図でもあります。

更新される図にして、現場で使う

一度作ったロジックモデルを報告書に入れて終えると、現実の変化に追いつけません。試行や評価を通じて分かったことを反映し、活動を変えたときには矢印も見直します。

定例会議で一部を見直す、年度末に全体を更新するなど、使う場を決めると図が生きます。事業の判断を支える図は、完成度より更新されることが重要です。

活動を増やす前に、成果とのつながりを疑う

事業が忙しくなるほど、活動を増やすことが前進のように感じられます。しかし活動数が増えても、望む変化につながるとは限りません。ロジックモデルでは、活動と短期的な成果の間に、どんな学びや行動が必要かを考えます。

つながりが弱いと感じたら、活動を追加するより、対象者の設定や提供方法を見直す方が有効なことがあります。矢印を描くことで、頑張りの量ではなく、変化の道筋を検討できます。

指標は、各段階に一つずつ置く

ロジックモデルを作ると、多くの項目を測りたくなります。まずは投入、活動、アウトプット、短期的な変化の中から、今の判断に必要なものを一つずつ選びます。

例えば研修事業なら、実施回数だけでなく、参加者が現場で何を試したかを短期的な変化として見ます。指標は、ロジックモデルの各段階が実際につながっているかを確かめるために置きます。

他者に見せて、言葉のあいまいさを直す

「意識が高まる」「連携が進む」といった言葉は便利ですが、人によって意味が異なります。ロジックモデルを見せて、具体的にはどんな状態かを質問してもらうと、成果の定義が明確になります。

言葉を具体化することで、評価方法も選びやすくなります。図は一人で完成させるより、関係者との会話を通じて、現場で使える言葉に変えていく方が役立ちます。

よくある質問

ロジックモデルはどのくらい細かく書くべきですか?

関係者が議論でき、日々の判断に使える細かさが目安です。最初から網羅せず、重要な活動と変化を中心に置きます。

ロジックモデルと事業計画書の違いは何ですか?

事業計画書は実施内容や収支も含む全体の計画です。ロジックモデルは、その事業が変化を生む道筋に焦点を当てます。

ロジックモデルはどのソフトで作るべきですか?

最初は紙やホワイトボードでも構いません。関係者と考えやすく、後から更新できることが重要です。完成後に共有用の形式へ整えます。

アウトカムとアウトプットを区別できません

アウトプットは活動によって直接生じる量や成果物、アウトカムは対象者や組織に起きる変化として考えると分けやすくなります。

因果関係を証明できない場合も使えますか?

使えます。ロジックモデルは因果を断定する図ではなく、どのつながりを確かめたいかを示す図です。根拠の強さも一緒に検討します。

ロジックモデルを作った後、誰が更新すべきですか?

事業責任者だけでなく、実施者や評価担当が関わるのが理想です。更新の時期と確認する場を決めると、使われ続けます。

中谷純

Written by

中谷 純 Jun Nakatani

企業・行政・NPOを横断し、新規事業の構想、合意形成、運営設計、評価・改善まで伴走する事業開発パートナーです。

  • 日本評価学会認定評価士
  • UmiNe合同会社 代表社員
  • 兵庫県宝塚市/全国オンライン
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