事業開発

顧客インタビューの質問を作る:直近の行動と判断をたどる

「このサービスを使いますか」への返答だけでは、申し込みの理由も、使わない条件も分かりません。具体的な出来事の順序をたどり、発言と聞き手の解釈を分けて残します。

この記事で作るもの

直近の出来事をたどる質問ガイドと、発言・観察・解釈・未確認を分ける記録票。

相手を選ぶ前に、知りたい行動を決める

「顧客の声を聞く」では範囲が広すぎます。「予約を途中でやめるとき何が起きるか」「有料サービスの代わりに何を使うか」のように、分からない行動を決めます。その行動を経験した人と、経験していない人を区別して募集します。知人に話を聞いた場合は、その関係も記録に残します。

冒頭では目的、記録方法、利用範囲、答えたくない質問は飛ばせることを伝えます。録音を拒否されても、聞き取りへの協力を拒否されたと決めつけません。録音しない方法を使えるか確認します。GOV.UKのインタビュー手順も、説明と同意、開かれた中立的な質問、実際の出来事に焦点を当てることを扱っています。

質問を、きっかけから結果まで並べる

次は予約サービスを検討するための説明用の架空質問です。本人が実案件で使った質問票や実際の回答ではありません。順番どおりに読み上げるのではなく、すでに話された内容は重ねて聞かず、曖昧な場面を掘り下げます。

出来事をたどる質問ガイド
知りたいこと入口の質問必要なときの追質問
きっかけ最近、予約しようとした場面を教えてくださいその前に何が起きていましたか
探した手段最初にどこを見たり、誰に聞いたりしましたかほかに考えた方法はありましたか
選択その方法に決めたとき、何を比べましたか決めるために足りなかった情報は何ですか
中断途中で止まったり、後回しにしたりした場面はありましたかその後は何をしましたか
結果最後はどうなりましたかその話の中で、こちらが確認し損ねた点はありますか

経験がないと分かったら、架空の経験を答えさせず「その場面は未経験」と残します。提示案への感想も聞くなら、行動の聞き取りを終えてから別の時間に行い、案を見る前後の発言を区別します。

沈黙を、隠れた本音と決めつけない

答えが短い理由は、覚えていない、質問が分からない、話したくないなど複数ありえます。「なぜ避けたのか」と推測を重ねず、「この質問は飛ばしても構いません」「どの意味で聞いているか補足しましょうか」と確認します。沈黙そのものをニーズや不満の証拠にしません。

誘導しやすいのは、こちらの仮説に合う言葉が出た場面です。「面倒だったんですね」と決めず、「面倒というのは、どの作業のことですか」と相手の表現へ戻します。金額や頻度も記憶による概数と記録で確認した値を分けます。

メモから、次に確かめる仮説を取り出す

聞き取り記録の空欄テンプレート
欄残す内容
発言本人の言葉。要約した場合は「要約」と記す
観察その場で直接見た操作や行動。過去の話と区別
解釈聞き手が考えた理由。別の説明も添える
未確認質問していないこと、回答がなかったこと
次の確認別の立場の人、記録、試作など何で確かめるか

複数人の記録は、賛成の数だけで集約せず、状況の違いで並べます。利用をやめた人の話が残っていないなら、継続者の声だけで利用条件を決めません。少数の聞き取りから市場全体の割合を推計することも避けます。

参照資料と確認範囲

以下の公開一次資料を2026年9月23日に確認しました。記入表と検討手順は、本稿で提案する整理方法です。

聞き取りは相手の認識や経験を理解する方法です。自己申告だけでは実際の行動や購入を確定できず、標本の選び方によって聞ける範囲も変わります。

中谷純

Written by

中谷 純 Jun Nakatani

企業・行政・NPOを横断し、新規事業の構想、合意形成、運営設計、評価・改善まで伴走する事業開発パートナーです。

  • 日本評価学会認定評価士
  • UmiNe合同会社 代表社員
  • 兵庫県宝塚市/全国オンライン
プロフィールと実績を見る →

質問が誘導になっていないか確かめたいとき

聞き取りで決めたいこと、対象者の条件、質問案があれば、何を先に聞き、何を記録で補うかを整理できます。実際の回答や個人情報を最初から送る必要はありません。

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